BEAMS HEART / TikTok Shop LIVE
「かわいい」の前に「これ、どこから来た服なのか」を言う台本。3コーデ分。史実で言い切れるところと、言い方を濁すところを分けてあります。
1970s LATE — MILANO / PARIS ・ ベージュ × 茶ギンガム × テラコッタ
このジャケット、ちょっと持ちますね。……軽いんですよ。肩に、何も入ってない。
ジャケットって本来、肩パッドと芯地でガチガチに「建築」されてる服なんです。それを全部抜いちゃった、っていう事件が70年代の終わりにミラノで起きて。そこから今のジャケットが始まってます。今日の1着目、その末裔です。
肩を指でつまんで、ふにゃっとさせて見せる。カメラに寄る。
面白いのが、衿は残してるんですよ。この刻みの入ったテーラードの衿。だから「ジャケットの顔」はそのままで、中身だけ抜いてある。しかも袖は半袖で、くるっと折り返してる。
前を開けて羽織れば完全に「上着」なんですけど、閉めればちゃんとジャケットに見える。この2ボタンが効いてます。
事 実ジャケットから肩パッドと芯地を抜いた「アンコンストラクテッド(=非構築)」は、1970年代後半にジョルジオ・アルマーニが打ち出した。1980年の映画『アメリカン・ジゴロ』でリチャード・ギアが着たことで世界に広がった。
言い方注意ブランド名を出してよいか要確認。NGなら→「70年代の終わりにミラノで、肩パッドを抜いたジャケットを作った人がいて」で通る。固有名詞なしでも話は成立します。
袖のロールを一度外に折って見せる。「ここ一回折ると腕が細く見えます」
で、この下のシャツ。衿だけ黒いですよね。これ「クレリック」っていう仕立てで、元々は逆で、身頃が柄で衿だけ白でした。
なんで衿だけ別かっていうと──シャツって衿が一番先に擦り切れるんですよ。だから昔のイギリスの人は、衿を取り外せるようにして、そこだけ交換してた。その名残なんです。100年以上前の「もったいない」が、今デザインとして残ってる。
これはその白を黒に反転させてる。それとこのギンガムチェック。これも歴史があって、1959年にブリジット・バルドーがピンクのギンガムのドレスで結婚式を挙げて、世界中で流行したんです。「ギンガム=おしゃれ」はこの日から。
事 実着脱式の白衿(デタッチャブル・カラー)は19世紀英国の習慣。「クレリック」は聖職者の衿に似ていることから来た和製英語で、英語では contrast collar / Winchester shirt。
事 実1959年、ブリジット・バルドーの結婚式のピンクのギンガムドレスがギンガム流行の起点として語られる。
ジャケットの衿元から黒い衿だけ出して見せる。袖のフレアを振る(袖口は「メロー」=端をくるっと丸めた始末)。
パンツ、腰が紐です。ドローストリング。……これ実はボタンよりもファスナーよりもずっと古い留め方で、服の原型に近いんですよ。人類が最初にやった「服を身体に留める方法」がこれ。
で、色。このテラコッタは70年代のアースカラーそのものです。当時の雑誌をめくるとこの色ばっかり出てきます。
ただ生地は全然古くなくて、とろみがあって、縦にすーっと線が落ちる。この「ラクなのに綺麗に見える」は90年代のミニマルの発明です。70年代の色に、90年代の落ち方を乗せてる。
横を向いて、縦の落ち感を見せる。「実際より脚、長く見えます」
ベージュ、こげ茶、テラコッタ。これ、70年代のパリの街の色なんですよ。カフェの椅子とか、メトロのタイルとか。ジェーン・バーキンがずっとこのへんの色で歩いてた。 ※「パリの街の色」は情感の表現。事実として言い切らずこのトーンで。ジェーン・バーキンが英国出身でパリ拠点だったのは事実。
MC 振り「これ、仕事にも着ていけます?」
行けます。前を閉めればジャケットなので。逆に休みの日は開けて、シャツの衿だけ見せる。1着で2回使えます。
導線:「カートの①がジャケット、②がシャツ、③がパンツです。シャツ、今セールなんで先に見てください」
1970 — BRITISH ISLES ・ キャメル × ダークブラウン
これ、パッと見「カラフルなニット」なんですけど……近づくと、格子なんですよ。しかも糸がボコボコしてる。
これ、ツイードを編みで再現してるんです。本物のツイードって重いし、チクチクするし、9月に着られない。それを編み地に置き換えて、半袖にして、今日から着られるようにしてある。
カメラに寄って、糸のループと色の粒を見せる。
この輪っかになった糸、「ブークレ」っていいます。フランス語で「輪っか」とか「巻き毛」。糸をわざとループにして編むから、この立体感が出る。
で、白い地に赤とか青の粒が飛んでますよね。これ、アイルランドの北西にドニゴールっていう地方があって、そこのツイードの特徴なんです。羊毛を染めるときに違う色の繊維を混ぜ込む。だから「無地に見えて近づくと極彩色」になる。
そもそもツイードって、100年前は男の狩猟着だったんですよ。それを女性の服に持ち込んだ人がパリにいて、それが今の「ツイード=女性のよそゆき」になってる。1着の中に、スコットランドの山と、パリのサロンが両方入ってます。
事 実ブークレ=仏 boucle(輪・巻き毛)。ドニゴール・ツイードは白地に多色のネップ(色の粒)が飛ぶのが特徴。
言い方注意「男性用ツイードを女性服に持ち込んだのはココ・シャネル、1920年代に当時の恋人ウェストミンスター公爵のスコットランドの領地で着想した」は広く語られる逸話だが確定した記録ではない。ブランド名を出すなら「〜と言われています」を必ず付ける。出さないなら上の台詞のまま(固有名詞なしで成立)。
裾と袖口のキャメルのリブをつまむ。「丈が短めなので、スカート高い位置で履けます」
スカートは、この「流れ方」を見てほしいです。歩くと、ワンテンポ遅れて後ろから付いてくる。
布って、縦横のまっすぐに裁つと固いままなんですけど、斜め45度に裁つと急に伸びて、身体に沿って流れ出すんです。この考え方を確立したのが1920〜30年代のマドレーヌ・ヴィオネっていうパリの人で、「バイアス」って呼ばれてます。今の落ちるスカートは全部この人の子孫です。
あと足首まであるマキシ丈。これが普通になったのは1970年前後です。60年代はミニ一色だったので、「長い」は当時めちゃくちゃ新しかった。
事 実バイアスカットを技法として確立したのは1920〜30年代のマドレーヌ・ヴィオネ。マキシ丈の一般化は1970年前後(ミニ一色だった60年代の反動)。
言い方注意この商品そのものがバイアス裁ちかは未確認。「この流れ方の考え方を作ったのが」と、技法の話として話す。「バイアスカットのスカートです」とは言わない。
2〜3歩あるいて裾を流す。光に透かして「裏地なしなので薄いです」
キャメルとこげ茶で、田舎っぽくなる一歩手前で止めてる。1970年ごろのイギリスのフォークのレコードのジャケットの色なんですよ。ニック・ドレイクとか、あのへんの。 ※Nick Drake『Bryter Layter』は1970年。UKフォークの色の記憶として話す。「このニットが参照している」とは言わない。
MC 振り「急に秋になりましたね」
そう、今日の中でこれだけ秋物です。だから今買って、9月いっぱいそのまま使えます。半袖なので、暑い日でも大丈夫。
導線:「ニットは秋の新作なのでセールじゃないです。スカートのほうは今下がってます」
1980s — MANCHESTER / LONDON ・ 黒 × 白 × テラコッタ
まずこのTシャツ見てください。白黒の写真が、青1色で刷ってある。で、上に細い英字が乗ってる。
これ、80年代のイギリスのインディーズのレコードのジャケットの作り方そのものなんです。あの頃のバンドって予算がないから、カラー写真が刷れない。だから昔の写真を持ってきて、インク1色で刷って、字を乗せる。その「貧乏だからこうなった」が、今いちばんかっこいい様式になってる。
Tシャツのプリントに寄る。字が読める距離まで近づける。
写真、小学校の子たちなんですよ。制服着て、テーブル囲んでる。下に「Bowleys Quarters Primary School」って校名がクレジットされてます。
で、いちばん下に一文入ってて──「人生に必要なのは、無知と自信。それだけで成功は間違いない」。これ、マーク・トウェインの言葉として知られてるやつです。……小学生の写真の下にこれを置くの、相当性格が悪くていいですよね。
BHは BEAMS HEART の頭文字です。
事 実プリント文:"All you need in this life is ignorance and confidence, and then success is sure." / マーク・トウェインの言葉として広く知られる。既存の白黒写真を単色で刷り欧文を乗せる手法は80年代UKインディーのスリーブアートの定番(ザ・スミスなど)。
言い方注意写真の出典と学校の実在は未確認。「校名がクレジットされています」までに留める。「実在の学校の写真です」「○○の写真です」とは言わない。特定のバンドを「これを参照している」とも言わない。
その上に重ねるのが、この透けるニット。網みたいに編んであって、Tシャツが透けて見える。
こういう粗く編んだ透けるニットって、70年代後半のロンドンのパンクの制服みたいなものだったんですよ。キングス・ロードの一軒の店から出てきて、そこから世界中に広がった。
で、首のこれ。チョーカー。共布で付いてきます。首に細いリボンを巻くのが大流行したのは、19世紀の終わりのヨーロッパで。英国のアレクサンドラ王妃が愛用して広まったと言われてます。100年以上前の宮廷のものと、70年代のパンクが、1着の中で同居してる。
事 実粗いモヘア/メッシュのニットは70年代後半ロンドンのパンクの定番。発信源はキングス・ロード430番地の店(1974年に「SEX」に改名)。
言い方注意店名・デザイナー名(ヴィヴィアン・ウエストウッド)を出すかは要確認。アレクサンドラ王妃のチョーカーは定説だが伝聞。「〜と言われています」を付ける。
チョーカーを結んで垂らして見せる。「セットなので、これ別売りじゃないです」
パンツ、1コーデ目と同じやつです。さっきはベージュのジャケットと合わせてパリっぽくしてましたけど、黒と合わせるとこうなる。
同じ1本でここまで顔が変わるので、今日の中で最初の1本にするならこれです。
①のジャケットを手に持って、横に並べて見せる(同じパンツの見え方の差)。
黒と白で組んで、テラコッタを1色だけ入れる。曇ってる街に、暖色が1個だけある感じ。80年代のマンチェスターの色です。 ※情感の表現として。「マンチェスターの服です」とは言わない。
MC 振り「透けるの、ちょっと勇気いりません?」
下にTシャツ着る前提なので、透けは全然気にならないです。むしろTシャツのプリントを透かして見せるためのニットなので、2枚で1着だと思ってください。